「あの人は、今、何をしているだろう」

最後に会ったのは、大学の卒業記念パーティーの会場でだった。そのとき、相沢君は四月からどこに住むのと聞かれて、「東京」とのみ答えた。

「東京」
「そう、寂しくなるわね。私はずっとこの街にいるから、遊びに来る時はきっと連絡して。」
「…うん。」
「きっと、ね」

それからもう二年近く経つ。その間に何度か、メールのやり取りをした。しかし、ある時から、そのメールすらも途絶えた。ここに来る時、全ての外界から自分を閉ざすことに決めた相沢は、携帯電話やパソコンを持っては来なかった。手紙すらも、無かった。