「ねぇ」
「何?」
「相沢君は、…」
「何?」
「…。今日、楽しかったね」
「うん」
「また、行こうね」
「うん」

かつて多くの商人を輩出した、その町を歩いたことがある。彼女は、古い洋館が好きだった。町には、そういった洋館があちこちにあった。彼女は、日傘を差さない人で、その肌は小麦色に焼けていた。その事は相沢に、健康的な印象を与えた。

「今日は、ありがとう」
「いや、こちらこそありがとう。誘ってくれて」
「ううん、またね」
「また」