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私は、古い家の庭にいる。そこには、すすきが枯れ井戸の周りをとり囲っている。その井戸の前に、まだ新しい摘み取ったばかりの秋の花が供されている。どこかで見たことのある風景だ。
井戸の底に小石を投げてみる。何も、音はしない。私は、しばらくそこに滞在することにする。辺りはまだ薄暗く、今は、ようやく白み始めた早朝のようだ。