絵は四枚あった。それらの絵は、一つの物語を形成しているようであり、その、前後ある物語の中の、ある瞬間を捉えたものだった。
それは、足の不自由な女性が、窓辺のいすに座って、じっと外を眺めている、暗い室内に、窓から光がふりそそいでいる絵。家の外の、風が強く、寒々しい土地で、ブルーベリーの収穫をする男性達の絵。誰もいない、納屋の中の絵。丘の上の古い一軒家が、建物の全体が、雪に覆われている絵。
展示されていたのは、それだけだった。
「これらは、どういう絵なんですか?」
画家は静かに答える。
「私にも、わかりません。描くことが出来たのは、これが全てです。後は…」
画家は言葉を続けられなかった。ただ、言葉に苦しそうにしていた。
伝えきれないものがあるのだろうか、私にはわからない。しかし、その画家の表情は、真直ぐと前を見据えていた。きっと何か、私には見えないものを見ているのだろう。或いは、夫と同じように。