懐かしかった。
目次を目で追って、「菜穂子」というところで止まった。あぁ、これも読んだことあるな、大学生の頃だった。ある女の面影と共に、その記憶が呼び起こされた。その女は、もう二度と会うことの無い女だった。そうして、長い髪を持った女だった。
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結局、目次だけで、中身は読まずに仕舞った。
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外は晴れ。風が強い。5百円を払って、喫茶店を出ると、行く場所は決まった。今日は、絵を見に行こう。そして、夜は一人で酒を飲もう。