寒い。ひどく寒い。さっきまでの暖かさが嘘みたいに、寒い。
空気が乾いている。遠くまでよく見通せる。気付けば、周りの人達も足早になっている。皆、どこかに行く途中としてこの公園にいる。私もどこかに行きたいと思う。
結局、この駅で降りても公園に行っただけだった。しかし、それで大満足した。いいものを見た。たくさんの人達、それも自分とおそらくは同年代の人達が、必死になって何かをつくっていた。答えがあったのかはわからない。どんなものを描こうとしていたのかも、よく知らない。彼らは見たい風景を見ることが出来ているのかどうか。でも、一心になって何かを描こうとしていたのは確かだ。そうして、何かを描きつつある彼らの眼差しがまっすぐだったのも、確かなことだ。
来てよかった。
思い立ったので、電車で東京を一周してみる事にする。来た時と同じ方向に向かう山手線に乗る。空いているので、簡単に座れる。電車の中は暖かく、眼鏡が曇る。それでも直もとに戻る事がわかっている。