10年間

もう10年もたつのか。

2010年12月31日付けで、3年9か月働いた会社を退職した。

東京から、たまたま取れたムーンライトながらに乗って帰った。たしか12月24日。出発にギリギリ間に合う時間まで、バーでお酒飲んでいた。夜行列車の中でお腹すいたときようにと、東京生活で懇意になったバーテンダーにホットサンドウィッチを作ってもらったのを覚えている。

東京を引き払ってから1か月は実家で適当に過ごし、2月のひとつき、バックパック背負い東南アジアを旅した。シンガポール、マレーシア、タイ、カンボジア。たまたま知ったバンコクのインターナルブッキングオフィスの女性は、親切で優しかった。流暢な日本語を使う彼女のおかげで、最初には思ってもみなかった、面白いホテルばかりに宿泊できた。とても良い旅になった。

旅から帰ったら、ニュージーランド、そして続けざまに、福島県沖での地震。当時まだ元気だった祖父母の家で、こたつで寝転がって国会中継を見ていたら、画面の中も大きく揺れていたのを覚えている。それからしばらく、東京を離れたことが、変に後ろめたく思えもした。

4月、地元の市役所で新しい仕事が始まった。田舎のじいちゃんばあちゃんと、方言を使って接する仕事に不思議な感じがした。

親しい人の色々な死にあった10年でもあった。大叔父や祖父母。そしてつい先日、10年間一緒に暮らし、介護もした祖母が他界した。彼、彼女たちの死にあうためだけでも、帰ってきたことに意味があったと思う。

でも27歳から36歳までのこの10年、ほんとうに、私は何をしてきただろう。

多くの人に出会った。そしてそれ以上にたくさんの人と別れた。私の非礼から縁切れた人もいる。みんな、幸せだろうか。

私は何か変わることができただろうか。おぼつかない。それでも大きな10年間だったのだろう。そう信じたい。