記憶

思い出が、美しいものとして残るというのは、対象(相手)との関係の中で、大変だったなあという経験のうち、自分が嫌だったことを忘れていく(良かったことだけが残る)ということのみではなく、私の中に生起していた、対象(相手)に対する、意地悪な感情とか、冷たい対応とか、つまり私の醜さをも、忘却の淵に、捨て去っていくことでもあるのだなあ、と思った。

いつのまにかそのような記憶のみ保持していたことに気づき、とまどう。そしてこのことを母に話す自分の残酷さ。母の、困惑した顔。夕食後の一コマ。