これは、小説か?
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こんな話を聞いたことがある。

昔、男と女がいた。二人は幼い頃から互いをよく見知り、長じて、一緒に暮らすようになる。しかし、いつしか男の方で愛が醒め、他の女のもとに通うようになる。それでも、女は、夫が何をしに行くのかを知りながらも、その身を案じつつ、帰りを待つ。月夜の晩に、音楽を奏でながら。

秋の、何となくもの悲しい晩に、なぜ、女は男を待つことができたのだろうか。
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