2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

記憶

思い出が、美しいものとして残るというのは、対象(相手)との関係の中で、大変だったなあという経験のうち、自分が嫌だったことを忘れていく(良かったことだけが残る)ということのみではなく、私の中に生起していた、対象(相手)に対する、意地悪な感情…

「正しさ」について

父について、なぜ父と私は相容れないと思ってしまうのか、書いていたら、「正しさ」に行き着いた。 正確には、行き着いたというよりも、「価値観」とか「反発」とかいった、目に付く言葉たちを、こそぎ落としてみたら、「正しさ」というものが残った。ほかに…

父③

連休も今日が最終なので、明日からまた始まる仕事のことをときどき思いながら、私は家でずっと、ぼーっと過ごしていた。 今日は朝から、雨降りがつづいている。父と母も、昨日と一昨日は、夕方近くまで畑仕事をしていたのが、今日は外で作業することも叶わず…

父②

毎年5月3日は、このあたりの農村では「のどめ」と言う。素朴に「野止め」とでも書くのだろうか、忙しいさなかの田植えも、この日だけはいったん休み、村々は昔からの祭りに賑わった。 しかし今年、人が集まるのを避けるため祭りは中止となった。毎年この日…

父①

晩年の祖母と一緒に生活するなかで、家族の結節点には、常に、介護の「問題」があった。家族の間のやりとりは、いつも、祖母の介護に関係あることがらとして成り立っていた。 あるいは、家族の間で、誰かから誰かに発せられる感情は、「祖母の介護」という容…