2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

4月29日(木)雨

母のスマートフォンには、甥や姪が生まれたときからの写真が撮りためてある。何枚もの写真を順にスワイプして、赤ちゃんや子どもの写真ばかりを眺めていたら、ふいに、最晩年の祖母の写真が表示された。介護ベッドの上で、祖母が横になっているのを、父が撮…

4月27日(火)

風呂に入る少し前まで知らない人のブログを読んでいた。風呂に入ってからも体を洗い湯船に浸かる間ずっと、ぼーっと、その人のブログについて考えていた。ふと思い浮かんだのは、ブログを書くことって、インドの人が、ガンジスで祈りを捧げることと似ている…

4月25日(日) 晴れ

東京から帰って以来、この10年の間に、多くの近しい人を喪くしてきた。なかでも、同居していた祖母は、私との間柄からいって、喪失感もことに大きいものがあった。 しかしそれでも、先日、祖母の百箇日を終え、ようやく、この間に経験したすべての死が、少し…

祖母の思い出④

夜、風呂を上がった後で、火照った体を冷ますのに、下着だけで、バスタオルを首にかけ、座敷の部屋隅に置かれた椅子に座って、床の間の祖母の遺影をぼーっと眺める。体の火照りが十分におさまれば、遺影の前で正座し、鈴を二度鳴らして手を合わせる。ここで…

祖母の思い出③

祖母は、年々歩くことが難しくなり、しまいには家の中でも杖をつくようになった。それでも京都に住む叔母は、この少し難しいところがある自分の母親と同居する嫂に気を遣ってか、彼女の気分転換になればと言って、時々、祖母を自宅に招き、1週間とか十日と…

祖母の思い出②

(とりとめもなく思い出されることを書く。) 私がまだ学生の頃、京都の叔母に会いにいく祖母と、大学に通学する私とが、同じ電車に乗り合わせたことがあった。窓ぎわの席に祖母が座り、通路側の席に私が座り、一時間ばかりの車中で、どんな会話を交わしたか…

祖母の思い出①

祖母の、遺影の眼差しは、どの角度からでも、きっと、見ている自分にまっすぐ向かってくる。生前、母に言わせると「怖かった」という祖母が、この眼差しから、凛とした姿そのままにあらわれているようだ。祖母の遺影の写真が、私は、好きだ。 でもこの写真が…

4月18日(日)

祖母が他界してから、一連の法事のなかで、今日は百箇日にあたった。 朝、一旦、六時ちょうどに目が覚めた。昨夜は遅くまで、あてもなくSNSを覗いたりして夜更かししてしまったから、きっと翌朝は起きられないだろうなと思っていた。だから目が覚めて時計を…

4月11日(日)

寺尾紗穂さんの、「道行」は、「ひとり憂いを抱きしめて」という言葉からはじまる。今、聴きながら書いている。 今日、夕方、ごみ袋が切れていたので、コンビニエンスストアまで買いに歩いて、そのついでに、ぶらぶら散歩することにした。小さいまちなかを抜…