制服を着た女子高生が何人も坂を下ってくる。三、四人連れ立って、笑い声が、秋空に弾む。まだ熟れない果実の、みずみずしさ。私にも、かつてあんなときがあった。
彼女たちと同じ頃、いつもケラケラ笑っていた。将来に対する不安、現在への不満、いろいろあったが、笑って、寝てその日を終えれば、翌日にはもう新しい朝が始まっていた。思い煩っても、思い煩うというそのことが、今にして思えば幸福の要素だったと思える。