平日の朝、街は早足で歩く人ばかりだ。相沢は、そんな中を、休日いつも行く喫茶店に向かってゆっくりと歩いた。喫茶店に入ると、いつもの男の店員がはじめは「おや?」という顔をし、それでもすぐに、いらっしゃいませと言って席に案内してくれた。他に客はなかった。新聞を取って、いつもの席にすわり、ブレンドコーヒーのモーニングセットを頼んだ。いつ来ても、店内には心地良い音楽が流れている。今日もそうだった。