絵を見る
風呂上がりに、ほてった体を冷まそうと、タオルを肩にかけ、下着姿で、ダラリと、うす暗がりの部屋で、椅子に座っていた。
目の前にいつもの絵がかかっていた。それをボーッと眺めていた。
不意に、絵の向こうに、世界が広がっているように思えた。こちら側とは別の世界が、絵の中に、描きこまれているように思えた。絵は窓のようだった。
そしてこれは、はじめて意識した感覚だった。
だがしかし、そうだったんだと腑にも落ちた。
今までに好きになった絵を、思い返してみた。
絵を見て、もしも、その絵を通して、向こう側に世界があることを感じたのならば、きっと、その絵に私は惹かれたのだろう。
そう思った。