翌朝、いつものように目が覚めた。横で夫は眠っている。その頬はこけている。
私を怖れる夫、でも、死んだように眠るその顔を見ていると、思わず髪を撫でてやりたくなる。今日は休みの日。夫を起こさないように、そっと床から滑り出た。身支度を済ませ、朝ごはんを作りにかかる。
何にしよう。今日はパンにしよう。卵焼きとキャベツで、ホットサンドを作ろう。コーヒーも、今日はインスタントで我慢しよう。最後に、蜂蜜をかけたヨーグルトを食べよう。
トースターの扉を開けた時の匂いが好きだ。コーヒーの匂いと一緒になって、朝が爽やかになる。その朝の香りを、部屋全体が吸い込む。健康的。外は秋晴れ、空には雲ひとつない。窓から光がいっぱいに差す。
一人、テーブルで朝ごはんを食べる。コーヒーから立ち上る湯気がきれいだ。
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テレビでは、天気予報をやっている。わかりきった予報は晴れ。
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掃除、洗濯をすると、あと何もすることはない。
夫が起きるまでの間、テレビを見て過ごす。少しも面白くない。
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「何か面白いのやってる?」
時計が11時を回る頃、ようやく、夫が起きてきた。
「うん」
頭痛そうに立っている。私は、水道の水を汲みに行く。渡すと、黙って飲み干した。ヒクヒク動く喉、首もとがなまめかしい。うるさいテレビを消す。
「サンドウィッチあるけど、食べる?」
「いいよ。お腹すいてないんだ」
「そう」
窓から心地よい風が入る。すべてを流し去ってくれればいいのに。
「よく寝てたわ」
「うん、すごく疲れてたんだ」