物語

我々は二つの世界を生きている。

しかし現実の我々は、そのうちの一つの世界だけに確かさを感じている。

なぜならもう一つの世界は、我々に常に明示的に開かれているものではないからだ。

その世界に存在する私は、この世界に生きる私の影のような存在。しかしこの影の反映が、私たちを、この明示的世界で生きることを可能ならしめている。

もう一方の非明示的世界について、ここでは「物語」と呼ぶ。

この物語について、これから私は、克明さとは別のアプローチの仕方で、書いていきたい。