2021年3月26日(金)

昨日は37歳の誕生日だった。そして今日は仕事休み。大学院の修了式があるからだ。朝はいつもより少しだけゆっくり布団に入っていた。 昨夜が少し寒かったからか、布団一枚だけの睡眠はよくなかった。頭に少しダルさを感じながら、味噌汁と納豆ご飯を食べ、歯…

被害者、加害者、犠牲者②

我々の世間が持つ悪に対する犠牲。あるいは我々自身の悪に対する犠牲。 1995年、我々は、昨日まで我々の住む世界の中で我々の隣に存在していたものを、我々と異なるものとして悪とみなした。そして2011年、我々が住む世界で我々もそうであるものを、我々から…

被害者、加害者、犠牲者①

「もう寝るわ。」 「ねえ、今日はなんの日か知ってる?」 「んー、なんの日?」 「地下鉄サリン事件があった日。」 「わあそんな恐ろしい日なの。」 「でもあまり報道されてないね。」 「世間はそれどころじゃあ、ないんじゃない。」 「うん、まあ、そんなも…

2021年3月20日 土曜 晴れのち曇り

昼過ぎまでは青空だったのが、夕方近くなった今、空はすっかり雲に覆われた。外を歩くと風が強く、しかし空気は生暖かな感じがした。 今日は、おそらく研究室で一日過ごすことができるのも最後だろうと思って、大学に来たけれども、結局、何もせずにこの時間…

10年間

もう10年もたつのか。 2010年12月31日付けで、3年9か月働いた会社を退職した。 東京から、たまたま取れたムーンライトながらに乗って帰った。たしか12月24日。出発にギリギリ間に合う時間まで、バーでお酒飲んでいた。夜行列車の中でお腹すいたときように…

文について

いきなり文にならないことに、最近気がついた。 なにかこう、マテリアルをこねくり回すような、そのような作業から、文が生まれるような気がしてきた。 今日は、このことに気づいた記念日。

六畳間のピアノマンについて②

ドラマは、今日が最終回だった。今回、主人公は、夏野との間にどのような関係を持つことになるのかという一点だけに注意を向けて観ていた。 観て驚いた。描かれていたのは、純粋な死者との交流だった。 有村がピアノマンに出会った時、すでに夏野は死んでい…

六畳間のピアノマンについて

修士論文を提出したら、心に余裕ができたのか、テレビドラマなんかを観て過ごす時間が増えた。毎週の楽しみは、金曜日の「俺の家の話」と土曜日の「六畳間のピアノマン」だ。今日は、「六畳間のピアノマン」について思うところを書いてみる。 物語は、死者を…

もうすぐ春かな

昨年入会した学会の、地方ブロックの研究会がオンラインで開催されたので参加した。 遠く離れた地方の研究会に、自分が住んでいるところから参加できたのは、オンライン環境が当たり前になった今だからのことで、今回の新型コロナによって加速したように見え…

修論審査を終えて④

大学から堀を隔てた向こう側にあるお城に行ってみた。修士論文が完成するまでは、大学周辺を気分転換に散歩しても、堀のこちら側から眺めるだけだった。いつか行こうと思っていたのが、やっと今日になった。受付で「天守へはこの坂を登ってください。梅林へ…

修論審査を終えて③

文学部を卒業したら、4年間メーカーで営業として働いた。 客先で話していても、社内の技術部門と話していても、どこか自分はアマチュアだという考えが離れず、専門性に対する、あこがれのようなものが芽生えだした。ここではないどこかに自分の専門性を発揮…

修論審査を終えて②

修士論文審査を終えて、久しぶりに、研究内容に直接関係しない本を読むことができている。休日には昼寝もした。ホットカーペットの上で寝転がって、本を読みつつ、眠くなると目を閉じ、そのまま昼寝するという、ダラダラした時間を持てた。散歩も、大学構内…

修論審査を終えて

修士論文の審査が、先ほど終わった。意外と、開放感は感じられない。論文をプリントアウトしたときは、もっと開放感があった。しかし、本当の意味で今日から、またいろんなことに時間を割くことができる生活に戻る。とりあえず、今はその喜びを感じることが…

冬の終わり

修士論文審査前の最後の指導がTeamsであった。今日の議論だけでも、これまであまり突っ込まずにきたいろいろな論点が見えた。先生との、ひとまずこれが最後の演習だと思うと、感慨深いものがあった。 季節は、どうやら冬を脱しつつあるみたいだ。キャンパス…

無茶苦茶になりたい

審査準備が捗らない。一週間後の2月9日まで、このままではいけない。 なんか、無茶苦茶になりたい。全然集中できない。 今日はもう寝よう。

審査までの日々

今日は、祖母の三七日だった。 午前10時にご縁さんが来られ、おっとめの後でお話をした。先週の二七日の際に、何気なく「親鸞」は「しょうにん」なのかと質問したことを受けてのお話だった。「親鸞さん」じゃないかという話だった。私もそう思う。これからの…

修士論文提出

修士論文を、先ほど提出してきた。肩の荷が降りたというか、心が軽い。 昨夜の、研究室を出るとき、電気を消した室の中には、外の明かりが、窓のブラインドから漏れて入ってきて、そのほの白さが、なんだかよかった。印刷した修士論文を机の上に置いて、あと…

風をあつめて

9月30日、あらら さん、誕生日おめでとう。 クラゲのように、ふわふわと漂っていた人生が、その日を境に、周りの海水の色が、ほんの少し濃くなったように感じた、その言葉を、私は忘れませんよ。 ラジオを通じて、あなたの、人生のほんの少しに触れて、「…

葉の揺れや、葉の擦れる音を通して、風が流れていることに気づく。しかし彼らは、このようなことには目を向けることができなかった。

再開

夏が終わり、秋になった。虫の死体が、地面に増えた。エアコンの効いた室温で、体調が崩れそうな気持ちになる。13人の元死刑囚達を思う。彼らについての文章を集中的に読む。彼らも私と同じ人間だ。 一冊読み終えて、重たい気持ちで、建物をでる。自動扉が開…

芭蕉

梅若万三郎師の<芭蕉>を、先日、観た。その時のことを思い出す。 初めて、<芭蕉>の世界に入ることができたように思う。 万三郎師の、緑色の袴は、芭蕉。 白色の、長絹は、雪。この白色が、舞台の色と同じで、まるで、装束も含めた、雪が降り積もる世界で…

友枝昭世師の融。 昔読んだ本で、翁は、一座の長老が勤めたと書いてたのを思い出した。 黒い鬘をつけないで、師の耳もあらわに、地毛の白髪がみえるような姿は、意図したものか。この日の舞台が、家元預かりの披露としての性格だとすれば、なんとなく、意図…

心の中に、小さな箱があって、長いこと、閉じていた、その箱が開くことすら、忘れていた。その箱が、空いて、から、ずっと、心臓の少し下の部分が、キリキリする。 またすぐに会いたい。と思えて仕方ない。

姨捨

梅若万三郎師の姨捨を観た。 私にとって、今回万三郎師の姨捨を観ることは、亡き片山幽雪師の姨捨の記憶を、自分はどのように受け止めていて、そして今日の舞台を経て、これからどう生きていくことができるのかという一点のみから臨んだ舞台だった。 だから…

除夜

部屋の窓を小さく開ける。 近くの寺の鐘の音が、今、大きく一つ聞こえた。 遠くでも聞こえる。 一年に一度、このとき、12月31日の夜、街中の寺が一斉に鐘を突き鳴らす。不思議な時間だ。 窓を開けても、今夜はそれほど寒くない。 烏の声も聞こえる。普段こん…

自分の声に耳を澄ます。 それは、村上さんの言う「うなぎ」のような、三人目の存在の声だと思う。

イチロー選手と、村上春樹さんは、なんとなくだけと、似ている気がする。

大きく息を吸って、胸にいっぱいの空気を溜めて、水に潜る。 向うのプールサイドを目指して、懸命に足を動かす。 昨日よりも、今日。 今日よりも、明日。 少しずつでも、距離を伸ばしていけば、いつかきっと、息継ぎなしで向うの壁にタッチできる。とにかく…

自分の声に耳を澄ますことから、書き紡ぐことは、始まるのではないだろうか。

太宰治は、27歳で『晩年』を出した。 村上春樹は、29歳で『風の歌を聴け』を出した。 私は、今年31歳になる。